ボタンホール穿刺のコツ

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通常針で何処にでも自己穿刺出来る方は別として,やはりHHDの最大の難関はボタンホール穿刺ですね。

これが上手く行けば,通常針での穿刺の場合に有り得る「痛点を刺してしまった」時の激痛に悩まされもせず,楽な透析が出来ること,大請け合いです。

「HHDのススメ」を唱っている以上,ここは一つ,ボタンホール穿刺のコツについて,今日まで私なりに得られた知識,実技について書いてみようと思います。

ボタンホールから血管までが深い(皮膚が厚い)場合は,穿刺ルートと言えるほどの「トンネル」が出来ます。これはまさにトンネルで,痂皮を剥がせば直ぐに見える場合と,組織に埋まってしまっている場合が有りますが,何れもダルニードルを緩やかに押し込めば「筒状」のルートが現れます。

このルートを再現する手技ですが,ちょっとコツがいります。痂皮を剥がした後,先ず駆血をしない状態でダルニードルをあてがい,少し力を掛けながら廻すようにして挿入すると,自然にルートに収まってスーッと進んでくれます。

で,ここから先が私も悩むところで,皮下の血管への挿入動作へ移ります。この血管側の前回穿刺口がすんなり見つからないことが多く,血管への挿入が困難な場合が多いため,頭が痛いところです。

いろいろ工夫を重ねてきた結果,一つ言えることは「駆血する動作だけで,血管穿刺口がずれる」と言うことです。駆血時に穿刺ルートに対して血管が,どちらにどれだけ動いたかをしっかり見ておきましょう。

それから,挿入角度が毎回同じとは限らないと思って間違いないと思います。ですから,同じ角度で何度押し込んでもダメな場合は,その先に穿刺口は無いと思っていいでしょう。やるだけ無駄です。

駆血の度合い一つとっても,毎回微妙に違いますから,血管の怒張具合が変わってしまい,ダルニードルのスベリ具合も違ってきます。微妙ですね。

ここで使うダルニードルが,クランプキャスタイプかAVF金属針かで感覚が違うようです。AVFの方が,微妙な針先の感覚を指先に感じやすく,修復された血管の穿刺口を探りやすいと言われています。でも私はズーッとクランプキャスで・・・ダルとはいえ,金属針は精神的に「抜いておきたい」からです。AVFポリカーボネート針も有るようですが,内径が細い(つまり肉厚)ので非効率に思えます。

駆血を強くして血管をしっかり怒張させると,ダルがコロン,コロンと血管上をスベルのが判りますが,その度に血管の廻りの組織を傷つけていることになりますので,いわゆる「おかしなルートが出来てしまう」結果にもなりかねません。かといって,駆血を緩くするとダルは全く動かずに,血管を押し込むだけになってしまいます。

この辺の力加減と,血管のどの位置に穿刺口が有るかを徐々に体感するしかないようで,私の場合は,しっかり駆血して少し側面から頂点に向かってすくうようにダルを滑らせると「ツルッ」と入ってくれるようです。

ま,脱血側の太い血管の場合は,いざというときは通常針で再穿刺しています。駆血を繰り返すのは,シャントによく無いと言われますし,最近大きく膨らみだしていますので。・・・これはこれで問題!

ところで,ボタンホールから血管までが浅い(皮膚が薄い)場合は,どうでしょう。

私の場合は,辺血側がこの状況にあり,純粋な静脈を使っています。つまりシャント流のような動・静脈混流ではありません。ですから,血管自体もそれほど太くなく,当初はボタンホールは無理だと思っていました。

ところが,手首から肘側に向かって二股が合流するポイントを見つけ,そこからスタッフの方がボタンホールを形成して下さって,辺血用に使えています。

で,しばらくは何の問題もなかったのですが,想像以上に血管が浅い位置に有るため,ついダルを押し込んだ際に,二股の血管の直下にダルを進めてしまうと言うトラブルがありました。これは二股の付け根にルートを形成したときにのみ起こる現象だと思います。

つまり,ダルを押し込んだ際に穿刺口を通り過ぎて,血管の下部に進んだダルが,徐々に血管と組織を剥ぎながら進んでいくという現象で,確かに痛みは有るので判りそうなものですが,我慢しつつついつい進めてしまいました。

当然結果は悲惨な状況で,逆血もほとんどなく,少し血液がにじむ程度。それでも挿入できたから大丈夫と考え,生食を注入すると痛みがジワーッと広がる感じで,漏れていることに気付いたという次第。

こういう浅い血管での教訓は,角度は殆ど水平になるぐらいに傾けてダル先ですくうように挿入すること。ですね。これで,挿入時の痛みもかなり少なくなりました。痛みの原因は,上手く穿刺口に入ったとしても,角度をつけたまま無理に進めるので,血管壁を痛めていた可能性があります。これは,スタッフの方からの指摘により気付いた手技です。

ま,ボタンホール穿刺のコツとは書きましたが,かく言う私がまだまだ悪戦苦闘中ですので,今後また新たな手技に気付くやも知れませんが・・・

コメント

  1. zero より:

    最近になって体得した感覚として,表皮,真皮の次に血管が来ると思っていたのですが,どうも違うようです。

    繰り返し穿刺していると,真皮と血管との間に「しっかりとした膜」が形成されるようです。

    何回かは,この「防護壁」とも言える膜は薄くて何の抵抗も無いのですが,次第に厚い膜を形成するようです。

    穿刺口の廻りが厚くなったものが筒状になり,底部に「底板」が出来るようなイメージです。

    この「底板」が曲者で,うっかり底板の隅をつついて破ってしまうとルートが変わります。

    しっかりこの「底板」を突き破れば,直ぐ下の血管に修復された穿刺口が待ち構えているようですね。抵抗無く挿入できます。

    つまり,この「底板」の抵抗感を覚える事が大事なのかもしれません。

  2. zero より:

    表皮から深い場合→あまり探らないこと

    表皮から浅い場合→水平にすくう感じ

    どうもこんなイメージには間違いなさそうですが,深くにあるしっかりした血管は良く動きますし,逃げてしまいますねぇ。

    上手くつかめるかどうか・・・ですね。